職場のベテランの女性がいて、その人は本当にチャキチャキしていて気持ちいいくらいにさばけた女性なんですが、その人が職員にはもちろん、利用者にも、そして利用者の家族にもそうで、今日は家族に結構キツく言っていて「これクレーム来るだろ」と思いながらもやっぱり面白くって、僕は笑いをこらえながらその家族の人にフォローをいれるっていう。
で、僕と一緒にそれを見ていた男性職員と
僕 「○○さん、今日もキレッキレですねえ」
職員「すごいよね、あれは」
僕 「あの切れ味は真似できないですね。まさに名刀というか」
職員「いや、妖刀だよ、あれは」
なんて話をしていました。そのあとで本人にも「あー、面白かった」と言ったら爽やかに笑っていました。仕事は早くて正確で、知識も経験も豊富で、そんで面白いという。
ひそかに「先生」と呼んでいます。
ビッキー・ホリディです。
ウチの近所で大掛かりな道路工事をやってるんです。
おととしの一年、交通規制工、いわゆるガードマンのバイトをしていたので見ていて「うわ、無茶な規制の張りかたすんなあ……」とか思いながら歩いてます。僕がやっていた規制の仕方と比べると非常に貧弱というか、まあ、危なっかしいわけです。それでもガードマンはキビキビと動いていて的確で、貧弱な規制をものともせず車をさばいているんです。
僕がバイトを始めたきっかけは御多分に漏れず、自己破産の危機にあったからで、弁護士から「いまの収入じゃ自己破産するしかない」と言われて、「それだけは嫌だ」と駄々をこね、2、3日くらい話し合って「じゃあバイトして収入源を増やせばいいんですよね?」と、それはそれは勇ましくその日のうちに面接を受けて決まったのがガードマンだったんです。
なんでガードマンなのかってのは、「道路で棒を振ってりゃいいんだろ、簡単じゃん」とナメくさっていたのと、実際に募集欄に「軽作業で女性も活躍しています」と書かれていたからで、しかも日給1万円。以前、7500円くらいで派遣のライン作業をやっていたのと比べればまさに破格の給料。しかも仕事は楽。これしかないと、当時の僕は思っていました。
まあ、実際にやってみると、これが難しい。最初に工事ができるように規制を張るのも難しければ、工事が始まってユニックやトラックが規制内に入るのを誘導するのも慣れるまでは大変でした。あと、単純に怖い。
無論、安全第一でやらなきゃなので、ぼーっとしてるとドヤされるわけです。でもこっちは本業の夜勤明けでそのまま夕方から入っているので潰れるほど眠いわけです。おまけに人が足りずにろくに教育なんてなく、出たとこ勝負でやっているのでトンチンカンな動きになってしまって、さらにドヤされるっていう。
僕もどうせバイトだし、と、やる気なんて給料分くらいしかなかったんですが、やっていくにつれ「これは本腰入れないとダメだな」と気づき、そっからはちゃんとやるようになりました。ただ、雨天中止や現場が無かったりと、仕事に入れる日があまりなく、日給月給なので非常に困ってしまい、それで派遣に鞍替えしました。でも、ちゃんとやろうとすると、交通規制もなかなか奥が深くて面白いんですよね。人もいい人ばかりでよくしてもらってたので続けられるなら続けたかったんですが、給料がもらえないんじゃ意味がないので辞めましたけど。
で、派遣です。イベント会場の設営・撤去・運営等々やっているところでした。夜勤明けの日に入りたかったので、おのずとイベント会場のバラシの仕事が多かったのですが、これもまた大変で。時間も長いし、休憩なんてろくにないし、走り回るし、走り回らないと鳶さんにドヤされるしで、かなりハードでした。作業自体はたとえば鉄パイプをこっちからあっちへ運ぶとか、そういう簡単な作業なんですが。
僕は数回入っただけで嫌になってしまい、今度はじゃあ設営の仕事をしてみようと、やってみました。結果はバラシんときと大差なく、どっちにしろ大変でした。台風が直撃してるなか、野球場の芝生を守るための板をひたすら敷いていくとか、わけのわからない工具を持たされて、使い方も教えてもらえないまま作業が進んでいって僕だけできずにチーフに舌打ちされたりとか。
これも数回で嫌になって、絶対にもうやるもんかと思って、今度は倉庫内作業の仕事をやりました。あ、運営は人と関わりたくなかったので最初から弾きました。
この派遣会社は、↑で書いた設営・撤去・運営だけでなく、それらで使った道具をメンテナンスする倉庫内作業もあったんです。設営や撤去に比べて給料は安いのですが、これは性に合ってました。ベニヤ板をシンナーでひたすらキレイにしたり、ネジとかボルトとかの数をひたすら数えていたりと、そんな仕事でした。誰からもドヤされることもなく、穏便に仕事ができたので、それからはこの仕事をずっとやっていました。
いまは本業の介護のほうが、今年から奇跡的に給与体系が変わり、バイトをしないでもなんとかなるようになりました。なのでもうバイトはやっていません。
でも、なんていうか、世の中にはいろんな仕事があるんだなあと、しみじみ思いました。
ガードマンに決める前は、バイク便でもやろうかと考えてたんですよ。でも方向音痴だし、バイクはSRだしで結局やめたんですけど。セローとか、そういうのがいいらしいですね。バイク便は。
おととしから去年にかけては本当に死ぬかと思いましたが、でもこれも貴重な経験なのかなあと。いやーでもキツかった。本当に、給与体系が変わってよかった。バイトしてたら、半年で10キロ以上痩せましたからね。健康診断でわかったんですが、先生もドン引きしてました。僕も死ぬのかなとか思いました。あ、いまは体重は戻りました。
今日はそんな仕事の話でした。介護の話も書きたかったのですが、なにから書けばいいのかわからないし、長くなってしまったのでこれで終わりにしようと思います。振り返れば楽しかったですよ。振り返れば、ね。当時は必死でしたけど。