今夜も誰かが泣いている
彼女は傘をさして歩いている
雨降りの国は涙を隠してくれるから好きだと彼女は言う
誰かの涙が雨となり
雨が誰かの涙を隠している
彼女の名前はシャロン
まだ虹を知らない女の子
憂鬱に身を任せれば空の下で
ゆっくり煙草を吹かしていられる
安らぎを誰かに求めれば
敬虔な人すらも粗暴になる
ここは雨の国
悲しみの風が街を通り過ぎていく
シャロンは傘をさして歩いている
濡れている午後はいかにも気怠くて
ささやかな慕情もなりをひそめる
雨降りの国は切ない胸を潤してくれるから好きだと彼女は言う
カーペンターズを聴きながら
逢えない夜こそ愛しくて
彼女の名前はシャロン
月の光を知らない女の子
彼女の名前はシャロン
傘をさして歩いている
シャロン、シャロン、何処へ行く?
シャロン、シャロン、此処が君の居場所だよ
わかってると彼女は言う
道を叩く雨は誰かの悔恨
あるいは失恋
またあるいはお別れ
今夜も雨は降り続ける
彼女の名前はシャロン
太陽を知らない女の子