【月が泣いている】
月が泣いている夜に
きみに電話をかけてみた
明るい調子の声色のきみ
おれは電話を切って泣いた
【最後の求愛】
必死になっておどけている人が
求めているものは
愛なのかもしれない
でもあえてぼくはそれを
「死」と呼ぼう
【優しい人】
優しい人は優しさに飢えている
【嘘くさい笑顔】
ぼくがつまづいたとき
みんなが手を差し伸べる
それはもう一度ぼくがつまづくのを見たいから
【シャ・ラ・ラ】
冷めたふりして口説いても
誰も振り向かない
夢中になればなるだけ
言葉が出てこない
抱きすくめればいいものを
「それじゃ、また」と手を振る始末
そんな男に惚れられた
あなたにおれは同情する
【ふしぎな人】
君は一体誰なの?
なんでこっちを見ているの?
おれの心に
金属のチップを埋め込もうとしている
目を合わせると
心を読まれる
やめろ
覗くな
見るな
笑うな
馬鹿にするな!
【虹色の思い出】
失えばなんだって美しい
自ら捨てたものでさえ
振り返ると愛おしい
駈け出して
抱きしめようと
今度は離さないぞと
心に誓って
目の前のものを放り出す
【人気者でいこう】
辛くても
笑いあえる仲間がいれば
乗り越えられるさ
それならお前がやってみろ
【生活】
新聞をとって
牛乳をとって
玄関で靴を履く
いまのおれにはなにができるだろう?
【涙色のスカート】
ひらひらと舞うたびに
悲しさだけが
風に溶ける
とびきりシャイな瞬間に
思いを告げたなら
その答えは
きっと
スカートのポケットの中にある
コメントをお書きください